中部と関西・東西日本の結束点はアジアの中心

1999年12月04日

by OUTSIDE

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特定の地域に偏らない政治行政を行うためには、新首都は東日本と西日本の境界上に位置するのと同時に、特定の地域に属さない中立的な場所がふさわしいと考えます。

畿央地域は、大阪と名古屋の両都市圏、関西と中部のちょうど中間で、どちらの圏にも属さず、かつ両地域の結束点です。

三重県はいったい何地方だと思いますか? 東海地方か近畿地方か? 中部地方か関西地方か? 人によっても、資料によっても、答えが異なってくるのではないかと思います。三重県人は、アンケートで何地方に丸をつければいいのか悩みますし、三重県の情報を見るのに中部を選べばいいのか、近畿を選べばいいのかいつも苦労します。このように三重県は、特定の地域に偏っていないといえるでしょう。

三重県の中でも畿央地域の中心となる伊賀地方は、特に中部圏と関西圏の結束点であるといえます。

例えば三重県伊賀地方は、放送行政的には名古屋のテレビ局の範囲ですが、名古屋のテレビはほとんど映らず、大阪のテレビが映ります。しかし、大阪のテレビ局のエリアではないので、ニュースの取材は映らない名古屋のテレビ局が行います。よって、伊賀地方では地元のニュースは見られないことになります。伊賀地方で売られている新聞のテレビ欄には、大阪と名古屋の両方のテレビ局の番組表が載っていて、その数は地上波だけで11局以上にのぼります。なお、ケーブルテレビに加入すれば、大阪と名古屋の両方のテレビを見ることができます。

「畿央」という地名は首都機能移転のためにつくられたもので、地図に載っていないためか、畿央地域は大阪に近すぎるのではないかと心配する声があります。畿央地域は大阪、名古屋、京都がほぼ等距離にありますので、大阪や京都に近すぎるというわけではありません。だからといって離れすぎているわけでもなく、通勤通学もなんとか可能な距離ですから、仕事や学校が終わってから、大阪や名古屋へ出掛けることもできます。もし将来リニアができれば、大阪と名古屋へ共に15分弱です。

なお、畿央地域では都市機能を利用するために大阪や名古屋まで行かなくても、手前にある、四日市、鈴鹿、津、奈良、草津、大津といった都市機能を気軽に利用できます。初期段階の日常的な母都市としては、上野、名張、水口などが利用できます。

また、将来大阪や名古屋の都市圏に飲み込まれる心配についても、畿央地域は盆地で、周囲を山に囲まれており、物理的に市街地の連担をすることができませんので、新たな集中の心配もありません。さらに、周囲の山は国定公園です。

すでに大阪の都市圏ではないかという方もいますが、まったくそんなことはなく、畿央地域の中心となる伊賀北部を通るJR関西線は、単線非電化で、1〜2両の気動車(電車ではない)が1時間に1〜2本のどかに走っています。明治時代から人口もほとんど変わってません。はっきり言ってド田舎です。しかし、田舎でも、交通は非常に便利ですので、不便は特にありません。

中部圏と関西圏の結束点である利点の一つとして、電源を多重化できることがあります。畿央の場合、電線を少し延ばせば、中部電力と関西電力からの電力供給が可能ですので、主要な施設は、中電と関電の両方から電線を引っ張ってくるようにすれば、比較的簡単に電源を多重化し、電源の安定性を高めることができます。

このように畿央地域は、名古屋と大阪、中部圏と関西圏の境界=結束点ですが、ここは同時に東日本と西日本の境界=結束点であるといえます。それでは、なぜ関西圏と中部圏の結束点が、東日本と西日本の結束点であると言えるのでしょうか。

これには、全国民を納得させる、客観的な理由が必要です。畿央地域を含む福井・滋賀・三重県を境に、東西に22都道府県ずつが均等に分かれます。これは、この地域が東西日本の境界上だということの非常に分かりやすい根拠の1つだと思います。

文化的に見ても、東西文化の境界=結束点は、畿央地域です。東西日本の文化の違いは、丸餅と角餅、ウナギを腹からさくか背からさくか、しめ縄の飾り方、お雑煮の味付けなどなど、たくさんあり、関ヶ原から三重・畿央地域のど真ん中の鈴鹿山脈・布引山地を境に分かれています。カップうどんのスープの味付けが東西で違うのは有名な話ですが、畿央地域内の伊賀地域には、このイースト味とウェスト味の2種類のカップうどんが両方とも売られていることからも、東西文化の結束点であるといえます。

東西方言に関しても、方言の専門書によると、日本の方言は大きく内地(本土)と南島(奄美沖縄)の2つに別れ、内地方言は、東部方言と西部方言に分かれます。さらに、細かい分類になっていくわけですが、内地方言の東部方言は新潟・長野・岐阜・愛知まで、西部方言は富山・石川・福井・滋賀・三重までになります。これで分かるように、三重県は東西文化と方言で、東西の両文化圏に含まれていることが分かります。

関西圏と中部圏の間が東日本と西日本の境界であるというと、果たして中部圏の中心である名古屋は東といえるののか、西ではないのかという意見があります。しかし、先ほどの東西文化の面でも名古屋は東日本に入りますし、名古屋人の目は大阪ではなく、東京方面を向いていることからも、名古屋は完全に東日本に含まれていると言えます。

このように、畿央地域は大阪と名古屋という、日本第2位、第3位の両都市圏のちょうど中間で、どちらの都市圏にも属さない、両地域を結束する場所にあります。畿央地域に首都機能を移転すれば、両都市圏と連担せず、両都市圏のパワーを存分に活用して、東京と対抗できる新たなネットワーク型都市圏を形成することが出来ます。そして、首都機能を移転して身軽になった世界都市・東京との2眼レフの国土構造にすることができるのです。この両圏が互いに競争しながら発展することで、日本全体の発展につながります。

オール関西発行の「今こそ日本に夢を・未来首都畿央」に、畿央地域を風水面から考察した論文があります。それには、畿央地域は我が国の大地のエネルギーの流れである東西の山脈と南北の山脈がクロスするところで、エネルギーの溢れる台地である。三方を山に囲まれ、前面に川や湖があってその先に山がある地形は、山観水泡、砂観水泡と呼ばれる、大地の気・エネルギーが溢れる吉祥の地あると書かれています。つまり、風水面で見ても、畿央地域は日本全国からエネルギーが集まってくる、新首都を建設するのに絶好の場所なのです。

国内だけの観点で見ていてもいけません。言うまでもなく、畿央地域はアジアの玄関口である関西空港にも近く、調査対象地域の中でアジアに最も近い場所です。シンポジウムなどでは、国連のアジア事務所のようなものを新首都につくったらどうかなどの意見が盛んに出ています。畿央は、日本だけでなく、アジアの中心を目指すことができるのです。

新首都は外国から多くの要人が訪れ、日本の顔となります。外国人はまず新首都を見ることになり、世界に誇る高度な文化が必要となります。この文化も、日本国内だけで通用するような、ローカルな文化であってはいけません。東京都の石原知事の「江戸以来の歴史文化への冒涜」に対抗するためにも、世界に通用する文化が必要となってきます。

畿央地域は、京都、奈良、あるいは伊勢といった、世界に誇る日本文化に囲まれています。また、畿央地域自体も、伊賀・甲賀の忍者や、松尾芭蕉の出身地でもあります。忍者も芭蕉(俳句)も、世界に通用する日本文化の1つです。だからといって、海外の要人に、古い昔の文化ばかり見せても仕方ありませんから、京都・奈良・伊勢とあわせて、近接する関西学術文化研究都市の最先端技術を見ていただくことで、日本の文化と科学技術のすばらしさを世界に発信する事ができます。


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