「まず、移転ありき」でよい−首都機能移転そもそも論

1998年04月12日

by FUJI

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 「そもそも、なぜ首都機能移転が必要か」についての理由を明確に説明するのは実は、なかなか困難な問題です。

 「東京一極集中」というのは単に人口の多くが東京に集中していることを指しているのではありません。

 「東京一極集中」とは、政界、官界、財界、学界、マスコミ、などなど、この国の、権力の「コネクション」の「構成員」の大半が東京に関わりのある者で占められていることを指していると考えます(むしろ、人口の集中といった形式上の一極集中は、この実質的な一極集中の結果であって、けっして原因ではないのです)。

 そして、この「東京コネクション」で行われている、いわば「テーブルの下での握手」という「国家腐敗の温床」を破壊するきっかけをつくるのが首都機能移転の真の狙いだと考えます。

 しかし、この「テーブルの下での握手」は「テーブルの下」であることが本質であるがゆえに、それを証明することは、まず不可能でしょう。

 それに乗じて「東京コネクション」が生み出す「既得権」を手放したくない「構成員」が、様々な「錦の御旗(例えば移転費用や自然保護など)」を立てて首都機能移転に反対している。そして、首都機能移転推進派にしてみたところで、「テーブルの下での握手」の存在を証明することの実際上の困難さを前に、防災といった、いわば移転による反射的利益にすぎないものを、あたかもメインの目的がごとく言わざるをえないのが実際のところだと思うのです。

 こうしてみると、表面的には「まず移転ありき」のように見える謗りは免れないにしても、我が国が激動する国際社会の中で生き残っていくためにはエイヤっ!で(最低限の民主的な手続保障は要するのはもちろんですが、むしろ自由主義的な権力分立の観点を重視して)ともかく首都機能移転により「実質上の一極集中」破壊をやる方が先決だと思うのです。


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