四季の分かる首都機能都市
2000年03月10日
by OUTSIDE
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首都機能都市の玄関口となる中央ターミナル駅には、リニア新幹線やフリーゲージトレインなどの全国各地からの高速鉄道をはじめ、在来線や首都機能都市内交通LRTなどが乗り入れます。屋上は展望台になっていて、首都機能都市や母都市となる旧市街を一望することができます。ここから、首都機能都市を見てみましょう。
新都市を建設すると聞くと、ブルドーザーが自然をすべて破壊してしまうのではないかと考えがちですが、首都機能都市はコンクリートジャングルではなく、緑を生かした美しい都市になります。土地が豊富にあるので建物を高層にする必要もなく、低層の建物が緑の中に建てられ、中央ターミナル駅の屋上展望台から見ると、まるで日本庭園の中に首都機能都市が組み込まれているかのようです。
首都機能都市は、自然破壊ではなく、逆に自然を守り増やしながら建設が行われます。首都機能都市の建設に際しては、貴重な植物は最適な場所への移植が行われ、動物は捕獲して安全な場所へ移動されます。道路には、動物たちの這い出し施設や横断施設がつくられます。新たにつくられる小川は変化に富み、メダカなどの多くの魚や植物が生息できるようになります。この地に元々ある既存種を用いて森がつくられ、木々には巣箱が設置されて、バードウォッチングを楽しむことができます。昆虫もたくさん集まってくるので、子どもたちがクワガタやカブトムシを店で買うこともありません。
反対側に目を転じれば、旧市街の街並みを望むことが出来ます。旧市街の中心には城が築かれていて、歴史を感じさせます。首都機能都市という最先端の都市と、歴史のある旧市街が、美しく調和しているのです。
遠くの山に、何か白いものが小さく動いているのが見えます。中央ターミナル駅の屋上展望台に設置された双眼鏡で覗いてみると、山の上で風車が回っているのが分かります。首都機能都市近くの山の上には、数十機の風力発電用の巨大な風車が設置されているのです。また、首都機能都市の建物の屋根の上には太陽光発電パネルが設置されていて、環境に優しい自然エネルギーが活用されています。
春、首都機能都市周辺の山や森からはウグイスのさえずりが聞こえ、首都機能都市は桜に包まれます。暖かくなって動物たちも行動をはじめ、1匹の猿が首都機能都市に迷い込みました。自然に包まれた首都機能都市では、街の中に猿が現れることはめずらしくなく、住民達も特に驚く様子はなく、マスコミが騒ぎ立てることもありません。
夏、首都機能都市の住民はアウトドアレジャーを楽しみます。首都機能都市近くの河川敷やダム湖畔にあるキャンプ場でキャンプをしたり、国定公園内の整備された自然歩道のハイキングや、山登りを楽しみます。夜は首都機能都市周辺の水田からカエルの鳴き声が聞こえてきます。
秋、首都機能都市には赤トンボが飛び回り、周辺の水田には米がたわわに実って、首都機能都市は黄金色に包まれます。旧住民から水田を借りている新住民は、稲刈りを楽しみます。昔からの伝統のある祭りが旧市街で行われ、首都機能都市の住民も祭りに参加します。
冬、すがすがしい空気が首都機能都市を包み込みます。首都機能都市は深夜の雪でうっすらと雪化粧をすることがありますが、雪は屋根の上や木の枝に少し積もるだけで、交通がマヒすることはほとんどありません。晴れた日の澄んだ夜空には、オリオン座やすばるなどの満天の星空を望むことができます。
正月、首都機能都市の住民達の住宅の玄関先にもしめ縄が飾られます。しめ縄の形や、お雑煮の味付けや餅の形は家庭によって様々で、首都機能都市にふさわしく全国の文化が集結していることが分かります。
このように新しく作られる首都機能都市は、全国の都市の見本となるような、日本の四季を肌で感じることのできる、自然と調和し、歴史と文化を感じさせる美しい都市になるのです。