中央新幹線の必要性

1999年12月04日

by OUTSIDE

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国会等移転審議会による交通ネットワークの評価では、既存の新幹線と建設中の整備新幹線のみを考慮に入れており、中央新幹線は考えないことになっています。なぜ、中央新幹線を考えていはいけないのでしょうか?

現在の東海道新幹線の輸送能力はすでに限界に来ており、品川新駅が出来ると1時間15本までの増発ができるとされていますが、これは時間稼ぎに過ぎず、すぐに輸送力の限界が来るのは目に見えています。

日本経済の不況が続くのであれば、今のままの東海道新幹線でいいかも知れません。でも、ずっと不景気のままでいいのでしょうか?景気が回復し、日本がさらなる発展を目指していくとき、東海道新幹線の輸送力の低さが、発展の足を引っ張ることになってしまいます。今後の日本経済の回復と、さらなる発展を目指すのであれば、今の東海道新幹線の輸送力では全然足りません。

名古屋からフリーゲージトレインで、高山や伊勢・新宮方面に直通新幹線を走らせようとする計画や、東海道新幹線に新駅をという計画がありますが、東海道新幹線はダイヤがいっぱいいっぱいで、JR東海は中央新幹線が出来た後でないとできないと言います。品川新駅ができても同じことです。他にも、北陸新幹線は米原経由にした方が、建設費も少なく、名古屋への直通もできて便利ですが、これも、JR東海はダイヤにそんな余裕はないと門前払い状態です。このように、フリーゲージトレインでの在来線乗り入れも、新駅設置も、北陸新幹線乗り入れも、東海道新幹線にはダイヤに余裕が全くないために何もできない状況です。これらの問題が、中央新幹線ができると、一気に解決することになります。

また、東海地震で東海道新幹線が何日も止まってしまうと、どれほど経済損失が出ることになるでしょうか。東海道新幹線の寿命による大規模な補修をするためにも、バイパス路線となる中央新幹線が必要になってきます。

中央新幹線の実現に向けて、東京、名古屋、大阪の都心部での建設については、地下に潜ることになっています。大深度地下利用というのが考えられていて、ビルの基礎に支障のない地下深くを公共の領域と見なして有効に利用しようとするもので、膨大な都市部の土地取得費用の問題は解決できます。南アルプスを貫く長大トンネルについても、今や専用の機械がシールド工法でどんどん掘っていくので、昔みたいに建設はそんなに難しくはないでしょう。

中央新幹線の採算性についても、中央新幹線は他の整備新幹線と違い、十分に乗客数が望めるもので、JR東海にとっては、第2のドル箱路線となるでしょう。調査でもそのような結果が出ています。過疎地に立派な橋を架けるのとは違うのです。

個人的には、技術的、金銭的に問題があれば、中央新幹線は別にリニアでなくても、通常のフル規格新幹線でも構わないと思ってています。時速500キロのリニアで東京〜大阪間が1時間ですから、東京〜大阪間は約500キロということになります。今や普通の新幹線でも300キロ以上は出せますから、時速320キロが出れば東京〜大阪間が約1時間半です。これだけ速ければ十分です。しかし、これを東海道新幹線でやることは不可能なのです。大昔に作られた東海道新幹線は線形が悪くてカーブが多く、速度制限区間がたくさんあるのでスピードが出せません。

首都機能の移転の有無に係わらず、中央新幹線は必ず必要になってくるものであり、交通ネットワークの評価でも、中央新幹線を考慮に入れるべきです。中央新幹線を考えない交通ネットワークの評価は、北東地域を不当に有利にしようという下心が感じられます。これは、公正に候補地の選定を行おうという審議会の考えと矛盾しているのではないでしょうか。


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